研究者の発見競争をテーマにした学術的 SLG
時は17世紀。 大航海時代の探険航海によって地球が丸いことが実証され、ガリレオ・ガリレイによって天動説が唱えられると、宇宙と地球のしくみの考察を元に、力学・光学・天文学などの研究が盛んになった。
そんな中、イギリスにアイザック・ニュートンという1人の天才が生まれた・・・
研究者の1人となって、実験と推理を繰り返し新しい理論を発見、論文にして発表し名声を獲得していく、学術研究シミュレーションゲームが公開されています。
「プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス」です。
今から 18 年前、1999 年に作られた個人作成のゲームのリメイクで、内容としてはコマンドを実行して数値を上げていくタイプ。
割とシンプルなシステムですが、学術研究という題材が良く、挿絵やサウンドにも雰囲気があります。
また、研究者同士の交流や中傷もあり、人間関係も表現されています。
価格は 360 円。買い切りゲームなので課金・スタミナ・広告等はありません。
まずは研究室で「研究テーマ」を決め、その「実験」と「推理」を繰り返します。
研究には 光学・熱力学・生物学 など6つの種類があり、さらに熱力学なら 燃焼・真空の性質 など、複数のテーマがあります。
実験や推理を行うと 実験値・推理値 が上がっていくのですが、知識がないとあまり上がりません。
知識は大学で講義を受けたり、読書をすることで上がりますが、講義を受けるには大学のある都市にいる必要があり、お金もかかります。
読書は無料ですが上昇値は少なめ。
ともあれ最初はできる範囲で知識を高め、実験と推理を行うことになるでしょう。
実験と推理が上がると、そのうち新しい「発見」を閃きます。
閃いたら今度は「理論検証」を実行し、完成度を上げていきます。
発見ごとに完成度の最大値が異なり、できるだけ高めたら「論文」を作成。
それをロンドンかパリの学会で発表し、認められると名声がアップ、援助金も貰えます。
ゲームはここまでの繰り返しです。
実験と推理を高めれば複数の発見が見つかり、「発明品」も作れるでしょう。
作った発明品は装備して実験の効果を高めるのに使えます。
テーマ内の発見を全て発表し終えたら、また新しいテーマに移りましょう。
発表を繰り返して名声が高まれば、大学講師や研究員などに転職でき収入がアップします。
※まずは研究する前に、大学の講義を受けてその分野の知識を高めましょう。
実験には器具が必要ですが、どの研究者も専門分野の器具を1つ所持しています。
それ以外はショップで買う必要がありますが、結構高い…
※論文ができたら学会へ。 学会員の皆さんが審査を行います。
完成度が高い論文なら通るはずですが、デタラメな理論は最大完成度が低いです。
ただ、あくまで当時の基準なので、現代では否定されている理論でも、当時信じられていたものは最大完成度は高めになっています。
右は発明シーン。成功させるには工作技術が必要。これは訓練で高めなければなりません。
ただし、学会への論文発表は「早い者勝ち」です。
誰かが発表済みの発見は、論文を作成して提示しても認められません。
また、学会の論文審査は、役員になっている研究者の賛否で決められます。
研究者には友好度があり、もし役員との仲が悪いと、完成度が高い論文でも否定されてしまうかもしれません。
また発表済みの論文でも、それに対する批判が出て、それが通ってしまうと公認が取り消されます。
これらを防ぐには、学会役員との交流も必要です。
直接会うのはもちろん、資金援助の手紙を送ると友好度が上がり、論文に賛成してくれやすくなります。
また名声が大きく高まれば、学会に入会希望して自ら役員になることもできます。
役員になれば自分の論文や他人の批判について直接意見を言えます。
手紙には相手を中傷し「無気力」に陥らせてしまうものもあり、研究者たちの競争社会も表現されています。
※左は論文に対する反対意見が出されたところ。
先を越された時は、相手の論文を否定して取り消さないと自分のものは通りません。
右は誹謗中傷。このライプニッツはニュートンを「パクリ野郎だ!」と批判しまくります…
こうしたものは近年でも「STAP 細胞問題」とかありましたね。
本当に STAP 細胞があったかどうかは別として、論文発表 → 別の学者が批判 → 盗用騒ぎ → 論文撤回 → 翌年にアメリカとドイツが発表、といった流れが。
やや残念なのは、研究者たちの競争があまり強く表現されていないこと。
基本的には友好度とか気にしなくても、いち早く研究して論文を書き、発表するのを繰り返せば良いだけで、そこまでシビアな競争ではありません。
やることがシンプルなので戦略性も少なく、論文を発表し続けていれば簡単に地位は向上していきます。
もうちょっと競争が激しかったり、論文を通すのが大変だったり、ワイロや中傷が飛び交う内容でも良かった気がしますが・・・
その辺は、あまりひどいと怒られそうなので抑えているのでしょうか?
もう1つの難点はオートセーブがないこと。
たまにアプリが不正落ちすることがありますが、オートセーブがないために、手動セーブの地点まで戻されてしまいます。
そんなに頻繁に落ちる訳ではありませんが、だからこそたまに落ちてセーブしてなかった時のダメージがひどい・・・
※オートセーブは搭載されていました。訂正いたします。
もう少しハッキリした目的も欲しかったところでしょうか。
ゲームは研究者の寿命が来るか、引退を選択した時に終わり、成果に応じたメッセージが出て来ますが、目指すものがやや希薄です。
学会の会長になる、爵位を得る、名声のハイスコアを狙う、といったところが目標になりますが、初回プレイでは解りにくいですね。
※左は会長就任シーン。ゲームの目標の1つです。
右はニュートン以外の研究者。選べる人は全部で 12 人。途中で登場する人もいます。
こういう数値上げゲームはプログラムしやすいので、個人作成のゲームにはよく見られるのですが、学術研究を題材にしているのは他に聞いたことがありません。
ゲーム中に出てくるメッセージもいかにもそれっぽく、研究している感じが出ていて良いです。
割とカジュアルなゲームですが、とてもアカデミックな気分になれます。
効率重視でプレイすると簡単に進めてしまうので、ここはむしろ気に入らない奴の研究分野に乗り込んで片っ端から論文書いて相手を潰すとか、学会会長になって他人の論文を批判して闇に葬り、自分の論文だけで発見を埋めるとか、そういうダークなプレイの方が楽しめるかもしれません。
どちらもやれるのがこのゲームの良いところでしょうか。
手軽ながら無二のテーマと雰囲気を持つ、個人的に好きな作品です。
注目された任天堂のスマホゲーム2作目
国家の興亡と英雄達の活躍を描いた、任天堂の人気シミュレーション RPG シリーズ「ファイアーエムブレム」。(エンブレムではない。通称 FE)
そのファイアーエムブレムを題材にしたソーシャルゲームが公開されています。
「ファイアーエムブレム ヒーローズ」です。 通称「FEH」。
スーパーマリオラン に続く、任天堂2作目のスマホ正式参入作品として注目されていたアプリ。
非常に遊びやすく、インターフェイスも扱いやすく、テンポも良い、とても模範的な作りのゲームです。
しかし内容は「FE を題材にしたミニゲーム」といった感じで、本格的な SRPG ではありません。
加えてスタミナ制+ガチャのオーソドックスなソーシャルゲームであり、「任天堂だからソシャゲを超えたものを」みたいな期待感を持っていると肩すかしになります。
むしろソシャゲらしいソシャゲですね。 ただ、とてもデキの良いソシャゲです。
公開は今年2月で、もう3ヶ月ほど経っているのですが、当時は私が体調不良でダウンしていてレビューできませんでした。
もはや時機を逸していますが、任天堂のスマホ作品をスルーするのもどうかと思うので、今さらながら取り上げておきたいと思います。
ミッションを選択するとスタミナが消費されてバトルが始まる、ソーシャルゲームおなじみのスタイルで進行します。
バトルは戦略 SLG の形式で、四角形のマスの上に味方ユニット(コマ)が配置されます。
自分のターンに移動力の分だけユニットを動かして敵を攻撃し、全員行動したらターン終了となるオーソドックスなターン制。
敵を倒すと経験値を得られ、レベルアップによりユニットは成長していきます。
ただ、このゲームはマップが横6マス・縦8マスと狭く、ユニットも味方は4人しか出撃できません。
敵も4~6人ほどで、よって短時間で終わり、戦略性は高くありません。
常に全体が1画面に収まっていて、スクロールさせる必要がないので遊びやすいのですが、これだけ「こぢんまり」しているとミニゲーム感が強いですね。
ただ、AI は相応に考えて動きます。
がむしゃらに突っ込んでくるケースは少なく、こちらが攻撃範囲に入るまで待機し、有利な相性や弱い相手を優先して狙ってきます。
よって戦略性が高くないと言っても、何も考えずに突っ込んで勝てるほど弱い訳でもありません。
敵をタップすると移動範囲と攻撃範囲が表示され、「危険範囲」のボタンを押すと相手の全ユニットの攻撃範囲も見ることができます。
それを確認し、その中にむやみに踏み込まないようにすることが大切ですね。
相手が近寄ってこない時は、相性が良く、防御力の高いキャラを前に出して誘い込みます。
このゲームのキャラクターは赤・青・緑の3属性と、黒の無属性に分かれていて、青は赤に、赤は緑に、緑は青に強く、不利な相手に攻撃されるとどんなに強いキャラでもあっさりやられてしまいます。
相性を考えて戦うことも大切ですが、属性についてはソーシャルゲームおなじみのシステムなので、今さら説明するまでもないでしょう。
※全体マップとバトルシーン。敵をタップすると移動範囲が青で、移動後に攻撃できる範囲が赤で表示されます。
下にある「危険範囲」のボタンで常に敵の攻撃範囲を表示できるので活用しましょう。
攻撃のミスはなく、戦闘結果は戦う前に画面上部に表示されます。
キャラの「速さ」が相手より5以上高い場合、2連続攻撃を行います。
※レベルアップで上昇する能力は一見ランダムに見えますが、キャラごとに決まっています。
リセットしたりワザと負けてレベルアップをやり直しても、上がる能力は変わりません。
ただ、同じ人物でも個体によって能力が少し違う「個体差」があります。
右は戦闘中のカットインですが、通常の絵とダメージ絵があり、HP が低いとやられているイラストになります。
このゲームの最大の長所は、インターフェイスが素晴らしいところ。
前述したように敵の攻撃範囲を容易にチェックでき、タップの反応も機敏で、動きやアニメーションのテンポも良く、とにかくストレスなく遊べます。
キャラを移動させた後、攻撃は敵をタップ、サポートスキルは味方をタップするだけで発動し、操作はタッチパネルに最適化されています。
この辺りのプレイ感の良さは、さすが任天堂と思えます。
キャラクターは 2D で描かれていて、戦闘時にはイラストのカットインが出て来ますが、マップ画面にはデフォルメされた3頭身キャラが表示されます。
キャラクターごとに複数の絵があり、戦闘ボイスもあって、しっかり作られているのを感じます。
しかしゲーム自体はオーソドックスすぎて、目新しいところはありません。
ガチャでキャラを入手し、目立った特徴のないバトルを、ソシャゲらしいスタイルで繰り返します。
「すごく出来が良い、すごく普通のゲーム」といった感じですね。
正直、これが任天堂じゃなく、FE でもなかったら、ここまでヒットしてたかなぁ、というのも本音です。
なお、昔のファイアーエムブレムは「死んだら死亡(ロスト)」というシビアなシステムで話題でしたが、さすがに今作にそれはありません。
やられてもそのマップで経験値を得られないだけです。
ガチャは連続で行うことで、必要な課金通貨(オーブ)が減っていく形式。
通常はオーブ5個ですが、2~4度目は4個、5度目は3個で行えます。
よって5回連続で行うとオーブ5個分お得になります。(1セットで5回まで)
しかし連続5回行うには 20 個のオーブが必要で、課金購入すると 10 個で 720 円、23 個で 1600 円。
相応の課金を要求するような作りになっています…
まあ、10 連ガチャの変形と言えますし、ゲームの進行でも相応にオーブは手に入るのですが。
※ガチャの確率は通常だと★3が 61 %、★4が 36 %、★5が 3 %。
ただし ★5 が出ない状態が5回続くと、次以降の召喚は ★5 の確率が 0.5 %アップします。
この「5回」は連続でなくても構いません。2回やってやめて、その後に3回やってやめて、合計5回出てないケースでも確率はアップし、★5 が出たセットの終了まで累積されていきます。
右は主要キャラが出た時に発生するアニメーション演出。 ただし主要キャラかどうかと、レアリティが高いかどうかは無関係で、アニメ演出が出たけど ★3 ということもあります。
※レベルアップ時に得られる「SP」は、メニュー画面でスキルを習得するのに使います。
また、アップデートでスキル継承も実装されました。
他のキャラのスキルを任意のキャラに習得させられるもので、特に補助スキルがないキャラに移動系のスキルを覚えさせると便利です。
遊びやすくてテンポが良いので、思わず続けてしまうゲームです。
しかし本編のストーリーが、FE のオールスターソシャゲであることに無理やり理由を付けた、どうでもいいような内容で、普段は似たバトルをひたすら繰り返すのみなので、飽きるのも早い印象。
中盤からスタミナがすぐ尽きるのも難点でしたが、これは4月のアップデートでスタミナ上限が増え、緩和されました。
スタミナが気になること自体が「うーん」という感じではありますが。
個人的には、「古いソーシャルゲーム」という印象が強いです。
ソーシャルゲームもここ数年でどんどん変わっていて、昨今は美しい 3D のグラフィックや、派手な攻撃演出、深いストーリー展開などが一般的になっています。
しかしこのゲームはオーソドックスなシステム、控えめな演出で、シナリオも取って付けたようなものに過ぎません。
まあ演出は地味と言うほどではないし、ボイスもあります。
あまりにアニメ感やゲーム感が強いと一般ユーザーは敬遠するので、それを考慮しているのだと思いますが、それでも昨今のソシャゲとしてはインパクトは少ない。
チェインクロニクル 以降に普及した、キャラクターごとのサブストーリーもなく、ファイアーエムブレムと言う「キャラゲー」を題材にしているのに、その点の掘り下げも乏しい。
誰ガ為のアルケミスト のような物語で引っ張るという感じもありません。
ストーリーとキャラクター性はファイアーエムブレムの大きな魅力だったと思うんですけどね…
決して悪いゲームではないので、もしこれが パズドラ やミリアサが出たばかりの 2013 年に公開されていれば「うぉー! 模範的なソシャゲだ! さすが任天堂!」と感じたと思いますが、2017 年の作品としては「今これかよ…」というのも否めません。
期待感が強すぎたのもあるのでしょうけど。
私的には、非常に「DeNA」感が強いです。
DeNA は任天堂のスマホゲーム展開において、そのサポートを買って出ましたが、そもそも DeNA ってガラケーの怪盗ロワイヤルやモバマスで隆盛したところであり、スマホではずっと弱い。
FFレコードキーパー がヒットしたぐらいで、それもスクエニの IP による人気。
その DeNA がサポートした任天堂のアプリとして考えると、この作品はスタミナ制、ガチャ、シンプルなシステム、ストーリー軽視、ゲーマー向けではない作りなど、すべてが「しっくり」来ます。
ポチポチゲーで成功したメーカーだからか、スマホゲームに対する考え方が保守的な印象で、「ソシャゲはシンプルで良い」という方には良いと思いますが、イノベーション(発想・創造)的なものは欠片も感じませんね…
※ストーリーマップや外伝など、ステージ数は多く、会話シーンも多いのですが、シナリオにまったく魅力がないので、ただクリアしていくだけ…
「異世界と繋がって FE のヒーロー達が召喚されました」「それで戦いになりました」というだけの「もうちょっと考えてくれよ」と言いたくなる内容。
正直、オリジナルのファイアーエムブレムの経験者や、戦略 SLG、シミュレーション RPG が好きな人にとっては、物足りない「ソーシャルゲーム」でしょう。
ただ、スマホは携帯電話。ユーザーがみんなゲーマーな訳ではない。
普段ゲームをあまりやらない人は、複雑なゲーム、難しすぎるゲームは敬遠するので、そういう人に対して任天堂のブランドイメージで売るには、確かにこれが正解なのかな、とも思います。
大炎上したスーパーマリオラン と違い、スタミナ制+ガチャ制の今作は、課金面でもそんなに叩かれていません。
この点でも、やはり任天堂が提供する今の時代のスマホゲームとしては、この形がベターなんだろうなと思います。
あの任天堂が課金ガチャに寄るしかない現状は、悲しくなるのも本音ですが。
盲人の国では片目の者でも王になる、とまでは言わないけど、そんなことを考えてしまう作品です。
それでも、とても遊びやすい作りで、ソシャゲ中心の方なら十分に楽しめる、試しておきたいアプリの1つでしょう。
30周年を迎えたハードボイルド探偵ストーリー
新宿歌舞伎町の片隅に事務所を構える探偵、神宮寺三郎。
酒はカミュ、煙草はマルボロを愛し、紫煙の向こうに真実を見出す彼が、数々の難事件に挑むハードボイルド推理アドベンチャー。
今年で 30 周年を迎えたこの神宮寺シリーズが、スマホでの展開を開始しました。
「探偵 神宮寺三郎 Oldies」です。
複数のストーリーを集めたアプリで、現時点(2017/6)では「無き子の肖像」「明けない夜に」「キトの夜」の3つのタイトルが収録されています。
どれも新作という訳ではなく、ガラケーアプリで公開されていたもの。
そのグラフィックとインターフェイスを修正したものですね。
このガラケー神宮寺シリーズは DS のダウンロード用ソフトにもなっていて、その際に一度リメイクされていました。
今回のスマホ版は、その DS 版をベースにしたものです。
元がガラケー用ですから、各作品は長編という程ではありません。
しかし短すぎる訳でもなく、一話完結のしっかりした探偵物語を楽しむことができます。
長さはそれぞれ違いますが、1タイトルあたり2~3時間ほど。
ガラケーで4つのアプリで構成されていた物語を1つにまとめています。
ハードボイルドでシブい神宮寺の魅力はモバイルでも十分に再現されており、こうした物語は近年まったく見られなくなりましたから、一周回って新しいかもしれませんね。
ただ残念なのは、おまけの「謎の事件簿」がカットされていること…
アプリ本体は無料ですが、そのままでは各作品の第一章しかプレイできません。
それぞれのタイトルは 480 円で個別に購入する形です。(第一章の終了後に課金画面が現れます)
スマホアプリとしては高めに感じるかもしれませんが、ガラケー版や DS 版と同じ値段です。
コマンド選択式のアドベンチャーゲームです。
見る・移動・会話などのコマンドを実行してストーリーを進めていきます。
進め方が解り辛いシーンはほとんどなく、もし迷っても「煙草」のコマンドで神宮寺が推理を行い、やるべきことを語ってくれます。
会話や調査を何度も繰り返したり、質問に答える場面もありますが、ほぼノベルゲームに近い形ですね。
質問や推理で間違っても特にペナルティはなく、すぐに再選択できるか、言い直されてそのまま進行します。
外見とインターフェイスにガラケー版の面影はなく、大きくて押しやすいボタン、高解像度用に描き直されたグラフィックを備え、派手な演出はありませんが、スマホでも違和感なくプレイできます。
サウンドも相変わらず渋いです。
ただ、メッセージ表示部の背景が暗いのに、文字も暗く表示される場合があって、読み辛いことがあるのは気になります。
明るめの文字色で統一して欲しかったところ。
タイトルごとに人物のグラフィックが驚くほど変わるのも、ブレている印象を受けるかもしれません。
しかし背景とキャラがずっと同じだと焼き直しに見えてしまうし、これは各タイトルの「味」とも言えるでしょうか。
※左は「無き子の肖像」、右は「キトの夜」の神宮寺三郎。タッチが全然違う。
ガラケー初期のものは劇画調、後期作になるほど柔らかい絵柄になっていきます。
※助手の洋子さん。これは「明けない夜に」のデザイン。この人も作品によって外見が違う。
背景はいくつかの作品で共通のものが使われています。
ストーリーは、やはり良いです。
初期の神宮寺シリーズには無理のあるシナリオもありましたが、ガラケーの神宮寺シリーズは「探偵らしさ」が増していて、行く先々で殺人事件が起こるような話にはなっていません。
ヤミ金、極道、不法滞在など、社会の裏面に触れるような物語も展開されます。
初期収録の3作品は事件としては派手な方ですが、他のストーリーには素行調査など、もっと実際の探偵ぽい話も含まれています。
しかし残念なのは、冒頭で述べた通り「謎の事件簿」がないこと…
これは「おまけ」として収録されていた短編ストーリーで、本編とは違ってコミカルタッチ。
しかも助手の洋子さんが目からビームを放ち、腕からロケットパンチを飛ばすロボ洋子になっていて、推理をミスった神宮寺に(たまにミスっていなくても)激しいツッ込みを入れるお笑い暴力キャラになっていました。
これも中期以降の神宮寺の楽しみだったのですが、ばっさりカット…
謎の事件簿はどんどんエスカレートしていったので、1作目から後でまとめて公開する方針なのかもしれませんが、今の時点では無くてガッカリですね。
※イベントシーンではカット絵が。話によってはアクションシーンもあります。
東京・新宿のアンダーグラウンドな一面が描かれます。
※中心人物の1人、新宿淀橋署の熊さんこと熊野警部。
「明けない夜に」の半分は、この人を主人公として刑事視点で進行します。
ガラケーの神宮寺シリーズは、私もスマホを持つ前に愛好していました。
今年の夏には 3DS で新作も公開されるようで、休止したり、権利が移ったり、色々あったタイトルですが、まだまだ健在な模様。
ファンの1人として、こうしてスマホで遊べるようになったのは嬉しいですね。
現時点(2017/6)では、購入済みのタイトルで再び購入の案内が出る不具合がありますが、再購入することで「このアイテムは購入済みです。無料でダウンロードしますか?」と表示され、課金なしで復元できます。
もしくは、タイトル画面で「リストア」を選んで下さい。
脱出ゲームやライトノベル系とは違う、少しレトロでハードボイルドな人間ドラマのアドベンチャーを堪能したい方にオススメです。
スターウォーズ風、宇宙戦争シューティング
いわゆる 3D スペースシューター。
宇宙戦闘機を操作して敵機を撃墜、作戦目標を達成していく、グラフィックが非常に美しいスターウォーズ風 3D シューティングゲームが公開されています。
「Subdivision Infinity」です。
実は最初、Apple もプッシュしていた最新 3D スペースシューター「ギャラクシー・オン・ファイア3」をレビューしようと思っていました。
しかしそれは Galaxy on Fire シリーズをソーシャルゲーム化したもので、遊びやすく、日本語化もされているのですが、どうにも違和感が。
GTA シリーズ に対する、無料ゲー化した ギャングスター ニューオーリンズ みたいな印象。
しかし Galaxy on Fire 2 は 2010 年公開のゲームなので、アップデートは続いていますが、今更感がある…
と言う訳で、今回は新作であり、Galaxy on Fire の 2 と 3 の中間的な内容である Subdivision を取り上げたいと思います。
メッセージは英語ですが、ステージクリア型のシューティングなのでゲームは解りやすいです。
また、ちゃんと鉱石を採掘してお金を集め、機体を購入・強化していく要素があります。
600 円の買い切りゲームなので、課金・スタミナ・広告等はありません。
(6/24 現在は発売セールで 360 円です)
画面左側をスライドして旋回し、右側のボタンでショットを連射。
ショットボタンの横にはブーストボタンがあり、押しっぱなしで加速しますが、ゲージが尽きるとしばらく使えなくなります。
操作性は良く、ルールもシンプルで、迷うことはないでしょう。
宇宙空間なので地面や失速はなく、障害物も少ないので、衝突を気にせず自由に飛び回ることができます。
基本的には赤い矢印の方向にいる敵機を撃墜していけば良く、全滅させればステージクリア。
偏差射撃(敵の移動先を撃つ射撃方法)が必要ですが、「撃てば当たる場所」が赤い円で示されているので、そこに照準を合わせてショットしていれば OK。
大雑把に撃っても当たってくれます。
ステージクリアできればストーリーが進み、次のミッションに進めるのですが、英語なので物語はよく解りません…
ただ、謎解きがある訳ではないし、ゲーム的には読めなくても問題ありません。
ミッションによっては大型輸送船や巡洋艦、ボスなども登場します。
※ガス星雲をバックに戦闘中。宇宙ヤバイ的グラフィックが美しい。
敵も縦横無尽に飛び回るので、その移動先を読んで照準を合わせることが必要。
敵を倒すと青いコンテナや黄色いクレジット(お金)を落とし、クレジットを拾うと HP も回復します。
※スペースクルーザー撃沈ミッション。 砲台を全て破壊する必要があります。
こうしたボス敵に正面から向かっていくと、さすがに耐えられません。
一旦やり過ごして後方から狙うのが基本。
ステージクリアによって経験値と報酬を得ることができます。
しかしメインミッションで得られる報酬は多くありません。
お金を稼ぐには、海外のスペースシューターではおなじみの「小惑星帯での採掘」を行わなければなりません。
Mining と書かれた場所に行くと、小惑星がたくさん浮かんでいます。
その1つに近づいてボタンを押すと資源採掘を行えます。
採掘可能な距離は画面に表示されており、近付いてボタンを押すだけなので、難しくはありません。
Cargo(船倉)がいっぱいになったら、ワープゲートを通って帰還。
集めた資源を売ればまとまったお金になります。
拠点の宇宙ステーションでは船や武器の購入と、その強化を行うことができます。
採掘は無条件で何度でも行え、お金は割とすぐ貯まるので、一番良い装備でミッションに挑みたいですね。
ただし、上位の船と武器の入手にはプレイヤーのレベルも必要です。
レベルはミッションを進めないと上がりません。
でも、ある程度ゲームが進めば「Free Hunt」というステージで経験値を稼げるようになります。
フリーハントはタイムトライアル制のバトルステージで、いくらでも敵が出現。
やられても若干の待ち時間の後に自動で復活。
敵を倒していると中ボスも出現し、時間内でのスコアを競います。
そしてスコアが多いほど入手経験値がアップします。
※採掘ビームでビーッと採集中。左上の船倉メーターが一杯になったら、緑のマーカーの先に向かって戻りましょう。
集めた資源は Inventory(積荷)の Misc(その他)を選べば表示されるので、Sell で売り払います。
ただし青いキューブ Gear Crate は戦闘で得るもので、武器の強化に必要なので、売り過ぎないよう注意。
※機体画面。最初の機体「RTX Interceptor」は良いところがないので、お金を貯めて早く「SFC Evolution」を買いましょう。
この機体は船倉が多いので、さらに上位の機体を手に入れた後でも、採掘船として活用することができます。
ただし船を乗り換えると装備が外れる場合があるので注意。
※これは探索ミッション(Exploration)で設計図を見つけたところ。
これを集めると上位の機体を作れるのですが…
すごく面倒くさいし、せっかく作ってもレベルが上がり、さらに上位の機体を買えるようになるとお払い箱に…
設計図の場所を探知するアイテム(Radar Probe)もあるのですが、使い捨て。
当面、探索ミッションと組み立て機体は気にしなくて良いと思います。
見た目が豪華な反面、割とシンプルなゲームです。
しかしだからこそ、最新グラフィックの宇宙シューティングバトルを手軽に楽しめる良さがありますね。
ソシャゲのような時間稼ぎ的なテンポの悪さもありません。
ただ、冒頭で述べた「ギャラクシー・オン・ファイア3」も、基本無料アプリだし日本語だし、クオリティは高いので、無料ゲー派・ソシャゲ派の人には良いと思います。
本格派のゲーマーの人だと Galaxy on Fire 2 が今でもベストでしょう。
この Subdivision Infinity も含め、それぞれターゲットのユーザーが違う感じですね。
このアプリは一般ゲーマー向けと言えるでしょうか。
ゲームの基本部分、例えば戦闘シーンは、見た目も含め、どれも大差ありません。
スターウォーズ的シューティングは、当分この辺りが定番になりそうです。
一度完結した「レイトン」シリーズが堂々復活
ひらめき問題やミニパズル、なぞなぞや思考問題など、ストーリーの途中で様々な「ナゾ」が出題される人気ナゾ解きアドベンチャー「レイトン教授」シリーズ。
ニンテンドーDS で展開されていた大人気ゲームでしたが、2013 年に発売された6作目を持ってシリーズは完結していました。
問題の作成・監修をしていた「頭の体操」シリーズの多湖輝さんも死去され、このまま終わったかに見えたのですが…
ファンの要望に応え、レイトン教授の娘を主人公とし、3DS とスマホの同時発売で新シリーズとして復活しました。
「レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀」です。
今回の主人公は新米探偵。
父の名声を利用して探偵事務所を開き、ロンドンで起こる様々な事件の解決に乗り出します。
ただ、レイトンシリーズはちょっと不思議な世界観で、起こる事件もユニーク。
しゃべる犬がお供になっているなど、ややジブリ的な雰囲気です。
出題される「ナゾ」はストーリーとは直接関係ありませんが、ひねった考えが必要なものから、ロジックで解くものまでバラエティーに富んでいます。
もちろん難しいナゾもありますが、解かないと先に進めないものは少なく、調査の過程で手に入るコインを使ってヒントを見ることもできるので、解けなくて行き詰まるということはないでしょう。
3DS 版と同時発売の新作なので、そのボリュームはスマホアプリのレベルではありません。
各所にアニメーションムービーが入り、オープニングでは西野カナさんが歌う主題歌が流れるなど、専用ゲーム機用ソフトの作りです。
スマホ版の価格は 1900 円。
スマホアプリとしては高く思えるかもしれませんが、3DS 版は 4800 円なので、かなり安いです。
もちろん追加課金なしでエンディングまで遊べます。
ただ、スマホ版は主人公の衣装が別売りとなっており、1つ 240 円。
これが 17 種類あります。(セット課金あり)
3DS 版はゲーム中で手に入るスペシャルコインで衣装を買う形になっています。
とは言え、あくまで衣装なので、買わなくても進行上の問題はありません。
普段はアドベンチャーゲームとして進行します。
画面下半分をスライドして虫メガネを動かし、上半分の風景の調べたい場所に合わせてタップ。
3DS のゲームでもあるので、スマホでも上下二画面のインターフェイスです。
なにかの反応がある場所では虫メガネの色が変わり、ピョッという音もします。
よって当てずっぽうにタップしまくる必要はありません。
人を調べた場合は会話を行います。
捜査に関係するものを調べればストーリーが進みますが、他にもメッセージが表示されたり、ヒントコインが出て来たり、ナゾが見つかったりします。
ヒントコインはあちこちにあるので、虫メガネで画面をなぞって探しましょう。
風景は多重スクロールする疑似 3D になっていて、単なる1枚絵ではありません。
パッと見は単なるイラストですが、虫メガネの移動に合わせて立体感のある動きを見せてくれます。
※捜査シーン。操作感はとても良いです。そして 3D 表現になっています。
スマホでも片目をつぶって虫メガネをグリグリ動かせば立体感を感じられます。
ナゾが見つかるとナゾ解きシーンへ。
ここでの操作方法はナゾによって違います。
文字や数字で答える問題は入力ボックスが現れ、キーボードで答えを入力します。
コマを使ったパズルなら、そのコマをドラッグで動かします。
コマをタップで回転させたり、長押しで拡大・縮小できる問題も。
他にもボタンで答えを選択したり、矢印ボタンでキャラクターを動かすなど、各問題に合わせた独自のインターフェイスが用意されています。
問題1つ1つに出題イラスト・解答イラストもあり、そうした問題が 100 以上も登場します。
解らない問題は「あとまわし」にしてパスすることも可能。
またヒントコインを使えば、4段階のヒントを見ることができます。
コインはまったく使わなかった場合、大量にあまるので、どうしても解らない時は無理せず使っても大丈夫。
ただ、ヒントなしで解いていくのがこのゲームの醍醐味だとは思いますが。
ナゾが解けると「ピカラット」というポイントがアップします。
入手量は問題の難易度によって異なり、誤答すると減っていくので、当てずっぽうの回答は避けましょう。
ピカラットが貯まると、タイトル画面から行ける「ひみつのモード」のお楽しみファイルがアンロックされていきます。
ただ、ゲーム本編には無関係なので、ナゾがぜんぜん解けず、誤答しまくってピカラットがあまり増えていなくても、進行が止まるようなことはありません。
※左はナイトムーブ系のパズル。こうした問題は論理的に考えて解くことができます。
メモ機能があり、右のように画面に手書きで線や字を書いて解答を考えることもできます。
※これらはひらめき系の問題。発想力が必要で、論理的に考えると解けない。
ちょっとひねった考え方や、違う見方が必要です。
捜査が進むと、事件のカギとなる「ひらめきピース」を得られます。
これがそろうと事件解決!
そのエピソードのエンディングへ向かえるのですが…
解決の推理は主人公が勝手に行うので、プレイヤーが回答を選んだりすることはありません。
そもそも、まともに推理できるような話ではありません。
ユニークな世界のアニメ的な物語なので、推理サスペンスのような展開は期待しないで下さい。
まあ、これはこれで面白いとは思います。
本編以外のおまけ要素も豊富で、部屋の模様換えや主人公の着せ替え、登場人物の好みの食事を用意する「ディナー」、おまけパズルである「ショップ」や「めいろ」といったミニゲームもあります。
後日談が語られるフリートーク、各所に隠されているコレクション、日替わりパズルの「日刊ナゾ通信」なども。
一度見つけたナゾはリストから自由に選択でき、解いているならコインなしでヒントを見ることができます。
※左はメニュー画面。とにかくおまけ要素が豊富にあり、本編の進行で増えていきます。
右は自宅の部屋の模様がえ。インテリアの入手に必要なチケットはナゾ解きで入手します。
※左は事件のカギがそろい、解決へのひらめきが生じたシーン。
この後、ムービーとボイスを交えた「犯人はお前だ」シーンになります。
右はナゾリスト画面。誤答して獲得ピカラットが減った問題を改めて解いても、ピカラットは増えません。悪しからず。
私はあまりにアニメ感が強いと引いてしまうので、アニメムービーの連発と主題歌付きのオープニングを見た時は「ちょっと…」とも思ったのですが、それは序盤だけでした。
本編は普通のゲーム展開で、ボイスもしゃべる犬役の役所広司さんなど、嫌味の無い聞きやすい声になっています。
やや煩わしく感じたのは、ムービーが流れる時、最初は横向きで表示されるのですが、ゲームは縦向きなこと。
よってムービーのたびに画面を回して持ち替える必要があります。
ボタン1つでムービーを縦持ちの方向にすることもできるのですが、そうすると表示がかなり小さくなる。
まあ、これはスマホが縦長画面なので仕方がない…
iPad がある人は、そちらでプレイするのをオススメします。
iPad なら縦持ちでも十分な大きさなので。
個人的に気になったのは、問題の傾向が少し変わったことですね。
今回は「頭の体操」の多湖輝さんではなく、「ゴースト暗算」などの書籍で有名な岩波邦明さんという方が担当しています。
脳トレ系の他に、新しい計算方法の書籍などを出されている方ですが、そのためかパズル問題やロジック系の問題が多めで、ひらめき系の問題が減った印象。
私的にはひらめき系のユニークな問題の方が好きだったので、多少の違和感があります。
とは言え、これは好みの問題で、ひらめき系は解らない時はとことん解らないので、理論や努力で解ける方が良いという方も多いでしょう。
そもそも多湖さんが亡くなられているので、仕方ないですしね…
※左は今回の傾向をよく表わしていたと思った問題。
事前調査の結果を基に、誰に当選の可能性が残っているかを答えるもの。
説明に必要なので答えを書いてしまいますが、3人全員が正解。なぜなら選挙当日までに何が起こるか解らないので「可能性」だけは全員にあるから。ただ、これは岩波式な印象。
多湖さんだと「市民の考えは変わらない」のだから、未回答の人たちは選挙でも未回答で当選の可能性は1人というひっかけ問題にしていた気がします。
右画像は本編進行に必須な問題ですが、ちょっと解りにくいと思ったので補足。
「隙間なく」という点に注意。また、ゴール位置は背景を見て下さい。
まあ読解力も問題のうちなのかな。
※横と縦のムービーの大きさ比較。横だと迫力がありますが、持ち替えが…
縦持ちだと小さくなりますが、字幕が画面外に出てくれます。
私はレイトンは初期シリーズしかやっていないのですが…
ともあれ、レイトンのファンとして、そしてレイトン以前から頭の体操のファンだった者として、こうしてシリーズが復活してくれたのは、そしてスマホでも遊べるようにしてくれたのは、非常に嬉しいです。
1900 円という値段を見て「たけー」と言っている人が見られますが、いや、安いから。
同時発売の 3DS 版は 4800 円だから。
もちろん当初の レイトンブラザーズ みたいに「その値段でボリュームがない」とかだと問題になりますが、今回は十分なボリュームです。
全体的に模範的な作りで、クオリティはかなり高く、知育や脳トレにもなる、オススメの作品ですね。
カイロソフトの動物ふれあい大型パーク建設 SLG
安らぎの広場や子供の遊び場、動物とのふれあい施設などを備える大型公園建設シミュレーションゲームが、おなじみのカイロソフトより公開されています。
「発見どうぶつ公園」です。
カイロソフトのゲームは「コマンド選択型」と「施設配置型」に大別されますが、このゲームは配置型。
公園の敷地内に広場や公園、飲食スペースなどを用意し、その中にベンチや砂場、売店などを置いてお客さんに満足して貰います。
特徴の1つは動物ふれあいパークになっていて、ネコやイヌ、ハトなどの動物を呼び、お客さんを「癒やせる」こと。
また、施設や動物を増やせば入場料も増加します。
ただ全体的に、今作は初心者向けに作られています。
施設の配置やお客さんの動線はあまり考慮する必要ありません。
遊びやすいのですが、カイロゲームに慣れている人だと物足りなさも感じますね。
一方で、施設や植物には維持費が必要で、ヘタすると赤字になるのはバランスとしてチグハグな印象もあります…
価格は 600 円。
買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等は一切ありません。
まずは公園内に「エリア」を設置します。
エリアには「広場」や「わんぱく公園」などがあり、それぞれ配置できる設備が決まっています。
広場を作ったら、その中にベンチ・看板・ゴミ箱などを設置するのですが、広場のサイズは 5x5 なのに、設備を置けるのは中央部の 3x3 の範囲のみです。
つまり、エリアの半分以上のスペースには何も置けません。
この「何も置けない場所が多い」というのが今作の特徴です。
エリア内に特定の設備がそろっていると「スポット」が発生し、例えば前述の3つの施設があると基本広場スポットになるのですが、中央にしか施設を置けないおかげで多くのスポットを同時に成立させるのは困難です。
加えて、スポットの効果も大したことありません。
おそらく今作は、施設をうまく配置してスポットを多重に発生させるシステムは、ゲームの複雑化を避けるためあえて廃されているのだと思われます。
しかしそこが楽しさでもあったので、他のカイロゲームに慣れていると面白味に欠ける印象も受けますね。
配置場所が限られているおかげで、自由度も低く感じます。
ゲーム後半になれば大型のエリアも登場するのですが…
※各エリアの外周1マスは通路になっていて、配置スペースはそれをのぞいた分だけ。
このため各エリアは完全に独立しています。並べても繋がりません。
歩道は街路樹に隣接させていると、そこを歩いた人の体力が回復します。
そして一部をのぞき、ほとんどのエリアや設備は、設置前にそれを「ロック解除」しなければなりません。
今作の配置システムはやや特殊で、例えば「水飲み場」を作ろうと思ったら、お金に加え、素材の「透明な水」と「アスファルト」が必要です。
素材がないなら、その調達手段を探さなければなりません…
しかしロック解除してストックが手に入れば、それを置く時には費用はかかりません。
また、置いた後に撤去(破壊)すると、ストックに戻ってきます。
そして素材の入手手段ですが、ほとんどは「掘り」で手に入れます。
お客さんが施設を使うと「掘りポイント」が増えていき、これを使って郊外の地面や草地、岩場など、なんでも掘ることができます。
施設や植物の撤去、歩道の設置にも使用します。
草地を掘れば「ツヤツヤ草」や「小さな花」が、泥なら「土のカケラ」や「粘土」が手に入るでしょう。
そして重要なのは公園の外周を囲う岩場で、ここを掘るとアスファルトが手に入ると同時に、敷地が広がっていきます。
この「掘り」で公園を広げていくゲームなので、実は施設配置よりも、掘る方がメインだったりします。
地面を掘った場合は穴が開きますが、1日経てば元に戻ります。
※エリアも設備も素材を集めてのロック解除が必要。 そのためにはとにかく掘る!
設備から得られる掘りポイントは、設備レベルが一定値になると入手量が増えます。
設備レベルはお客さんの使用で増えますが、ゲームが進むと要らない素材を費やして上げることもできます。
もう1つの特徴が、タイトル名にもなっている「どうぶつ」。
公園だけでなく「ふれあい広場」「なかよし広場」などを設置して、そこに動物を呼ぶことができます。
お客さんが動物とふれ合うと体力回復と共に「癒やしポイント」を獲得します。
各月の公園の評価は施設利用による満足ポイントと、この癒やしポイント、さらに収入によって付けられます。
また、動物は入園料を大きく高め、アニマルハートといった素材も得られます。
ただ、動物を呼ぶにはコインが必要で、これはなかなか増えません。
おまけに広場の「植物」の評価が低いと呼び込みに失敗することも。
加えてコインは新設備の研究にも使うので、あまり無駄遣いできません。
しかし色々な動物がいる公園は、見た目も楽しくなります。
積極的に増やしていきたいですね。
※動物は様々な条件で増え、だんだん動物園状態に。
チャレンジで孵化した動物はその場に常駐しますが、歩道で孵化させると動き回ります。
動物の数が増えると呼ぶ動物を選択できるようになりますが、コインがかなり必要。
当面の目標となるのは公園コンクールでの優勝と、年末に発表される公園ランキングでの上位獲得。
公園には「景観」「楽しさ」「安らぎ」の3つの指数があり、これがコンテストでの勝敗を左右します。
設備はこれらのステータスを高めますが、景観はエリアの数や施設の種類の豊富さ、楽しさや安らぎは動物の種類、水場の数、さらに全エリアの中でもっとも高い関連数値が影響します。
要するに、公園を広げつつ、特定の数値に特化したエリアを作ることが勝利のカギになりますね。
動物や植物の種類を増やすには、たまに発生する「チャレンジ」も成功させなければなりません。
これはお客さんに苗木やタマゴの世話をして貰うもので、お客さんの数とステータスが影響します。
お客さんは「投資」によって増えていくので、入場料収入を増やすためにも投資は優先して行いましょう。
※コンクールの勝利に必要な数値を上げる方法は「情報 → 全体情報」に書かれているのでチェックしておきましょう。
お金は投資に使うのが入場者数アップの秘訣。
ゲームの進行によって、どんどん新しいエリア、設備、動物などが登場します。
その数はかなり豊富で、バラエティーに富んだ動物公園を作っていくことができますが…
私的には、他の施設配置型カイロゲームと比べると、やや単調な印象もあります。
設備を置ける場所が限られており、エリアや施設を増やすには素材を集めてのロック解除が必要なため、建設のペースが遅いのです。
また、前述したように配置に工夫の余地があまりない。
期間も長い印象で、テンポが遅めなので間延びしてくるのが早いのですが、クリアまで 16 年もあるという…
特に素材や資金が少なく、エリアが少ないため配置スペースもあまりない序盤は、退屈な印象です。
その代わり、どんどん郊外を掘って敷地を広げたり、素材を探したりできるのですが、掘りはポイントを貯めて黙々と掘っていけば良いだけですからね…
またカイロソフトのゲームとしては珍しく、維持費に注意しなければなりません。
特に植物の維持費が高く、おまけに郊外に最初からある木々にまで維持費がかかります。
ふれあい広場に動物を呼ぶ際、その周囲に木を植えて「植物」の数値を高めるよう言われるのですが、それに従って木をロック解除して増やし、どんどん植えていくと、維持費も増大していきます。
郊外に飾りのように立っている木にも維持費がかかっているのに気付いていないと、あっという間に赤字経営に陥りかねません。
初心者向けの作りなのに、このトラップみたいなシステムはどうよ? とか思ってしまいます。
郊外の木はできるだけ早く伐採してしまいましょう。
その木を設置できる状況なら、伐採した分だけストックが増えていくのでもったいなくはありません。
また、植物は置きすぎないよう注意して下さい。
※山奥の木々1つ1つに維持費があり、収入を減らしてしまう罠システム。
切り倒せば施設と同じようにストックになるので躊躇なく壊しましょう。
なお、エリアは壊してもストックには戻りません。
動物がいる場合、それも消えてしまうので、エリアの作り替えは難しいです…
右は釣り堀。ゲームが進めば運動場なども登場します。
植物の維持費にだけ注意すれば、難しいことを考えなくても、エリアを増やしてテキトーに設備や動物を増やしていけば良いシステムなので、遊びやすい内容です。
他のカイロゲームが難しいという方でも、これなら大丈夫かも。
入手方法が解らない素材も、公園の敷地を広げていけば、いずれ得られる土地が出て来ますから、焦って入手方法を模索する必要はありません。
掘って広げていればそのうち解決します。
慣れている人にとっては物足りないのですが、後半に入ると土地が入り組んできて、広いエリアを置き辛くなるため、配置で悩むようになって来ます。
このゲームは序盤が一番間延びしていて、中盤以降からやれることが増える、従来とは逆の展開ですね。
ともあれ、待望のカイロソフトの新作です。
今回も没頭して楽しめる作品なので、カイロファンや開発ゲーム好きの方にはオススメです。
暗視映像がリアルな人気射撃ゲームに拡張版登場
湾岸戦争でアメリカ軍が公開した、暗視カメラによる白黒の爆撃映像。
それは「戦争がゲームのようになった」と言われ世界中で話題になりましたが、2011年、その「ゲームのようだ」と言われた映像でゲームをするアプリ「Zombie Gunship」が公開され、人気になりました。
そして先日、その Zombie Gunship を長期的に遊べる形に拡張したバージョンが公開されています。
「Zombie Gunship Survival」です。
ガンシップ AC-130 の砲撃手となり、上空からマシンガンやキャノンでゾンビを撃退、地上で作戦を遂行する兵士を援護する内容で、話題になった暗視カメラ風の白黒映像はもちろん健在。
今回もリアルな機銃掃射を行うことができます。
ただ、問題はクラロワ型の宝箱システムで、クラッシュ・ロワイヤル や CATS と同じく、ミッションクリアで得られる武器の入ったボックスは、時間が経たないと開けられません。
連続で遊んでいると開けていない箱が貯まっていき、そのうち報酬を得られなくなります。
これが変則的なスタミナ制と言え、課金圧力になっています…
挑戦するステージを選択し、部隊の出撃場所を決定すると、兵士が物資のある建物に自動で移動していきます。
しかし周囲の森からゾンビの群れがワラワラと出現。
プレイヤーは上空からの銃撃でゾンビを蹴散らし、兵士を援護します。
ただ、マシンガンは撃ち続けているとすぐにオーバーヒートするため、適度に止めながら撃たなければなりません。
30mm 砲も搭載されていますが威力がある反面単発で、弾にも限りがあります。
ピンチ操作で自由にズームできるので、正確に狙いたい時は拡大した方が良いですね。
ゾンビが近付くと兵士は戦闘を始めますが、歩みを止めてしまうので、行く手を阻む敵を優先して倒す必要があります。
建物に到着すると兵士は中に入って物資の回収を開始。
この時も回収が終わるまで、ゾンビを倒して建物を守らなければなりません。
どうしようもない時は、早めに建物から脱出するよう指示することができます。
全ての建物での回収を終える(もしくは撤退を指示する)と、脱出用の輸送ヘリが現地に向かいます。
到着までの 30 秒を守り切ると作戦成功となり、回収した物資を獲得して、次のステージにも進めるようになります。
また、完全に物資を回収した建物の数に応じて勲章を得られ、これは新しいエリアに進むのに必要です。
脱出前に兵士がゾンビに囲まれ、全滅してしまうとゲームオーバーですが、特にペナルティはありません。
スタミナはないので、何度でもリトライは可能です。
ミッションで得られるのは経験値と、メタル・物資・武器コンテナ・ネジ。
メタルとネジは装備の改良に使います。
そして物資(青いコンテナ)は、施設の強化に使うことができます。
今作には様々な施設がある「作戦本部」があり、格納庫の強化によってガンシップの武器装備数や部隊の兵士数が増加、貯蔵庫を強化すれば物資の最大量も増えていきます。
さらにフェンスや機銃塔などの防衛設備も修理可能。
一定時間ごとに防衛戦を行うことができ、その際に戦いやすくなります。
本部の施設の位置は自由に変更できるので、基地をカスタマイズする要素もありますね。
※作戦本部の画面。文明崩壊後の世界なので、廃墟の寄せ集めのようになっています。
設備の強化には一定のレベル(プレイヤーランク)も必要です。
※ステージ開始時の突入場所選択画面。
赤い円は機銃塔や砲撃塔の範囲で、これはゾンビも兵士も無差別に攻撃します。
残しておけば利用できますが、進行の邪魔になったら破壊しなければなりません。
※ゾンビに囲まれてピンチ! 味方を撃つと怒られますがダメージは少ないので、ヤバい時は構わず味方周辺にロケット砲を撃ち込んでゾンビを一掃しましょう。
ガンシップ AC-130 は左側面にのみ武装が付いていて、戦場を左旋回しながら戦う設計になっているので、常に画面は回転しています。
攻撃を受け辛い夜に運用されるのが普通で、よってゲームでも暗視カメラで戦います。
え? ゾンビが相手なら夜じゃなくてもいいじゃないかって? そこはツッ込まない方針で…
ガンシップの装備は最初は機銃と砲しかありませんが、武器コンテナからは様々な種類の武器を得られます。
広範囲攻撃のロケット砲や、高威力の誘導ミサイル、精密な攻撃が出来るスナイパーライフルなどがあり、兵士が持つ武器にもマシンガン系、ショットガン系、ロケットランチャー系などがあります。
どれを使うかが攻略のポイントになりますね。
しかし問題は、前述したように武器コンテナが「クラロワ型の宝箱のシステム」になっていること。
小型の箱(エクスプレス コンテナ)は5分で開きますが、標準コンテナは3時間かかり、しかも同時に複数の宝箱を開けることはできません。
時間が経ったらログインして中身を確認し、次に開ける箱を指示しないと、続けて箱を処理していくこともできません。
もちろん課金通貨を使えば、待ち時間なしで開けられるのですが…
さらに箱は4つまでしか保持できないので、一杯になっているとミッションクリアしても箱は得られません。
一杯だとミッション開始時と終了時に「新たなコンテナを得られません」と毎回表示され、課金圧力を受け続けるのもうっとうしいです。
3時間というのも厄介で、クラロワ と同じではありますが、CATS が2時間だったのでかなり長く感じます。
まあ、経験値・メタル・物資などは普通に得られるので、武器ボックスは当面気にしない方が良いかもしれません。
レベルが上がらないと上位の武器が出て来ず、下位の武器を強化しても上位武器が出ればどうせ乗りかえることになります。
施設の拡張が進まないと装備できる数も少ないので、まずはレベルアップと施設強化が先ですね。
もう1つ難点なのは、展開が単調なこと。
チュートリアルでは大型船での戦いが繰り広げられますが、そうした特殊な戦闘は最初だけ。
以後は同じような見た目の、同じような廃墟で、種類の少ないゾンビとの戦いをずっと繰り返すことになります。
エリアを進めても変わらないし、本部の防衛戦もプレイ必須なものではないので、あまりアクセントになっていません。
敵が強くなってクリア出来なくなってきたら、クリア済みのステージを繰り返して物資や経験を貯めることになるのですが、成長ペースが遅くてそれを延々と続けることになるので、それもまた単調さに拍車をかけています。
※これが問題の武器コンテナ。5分で開くのは最初だけ。すぐ3時間に。
コンテナが2つ手に入ることもあり、4枠はすぐに埋まってしまう。
私的には普通のスタミナ制よりも嫌いで、「またか」と思ってしまいます…
※武器には「★」と「レア度」があります。
いわゆる「レアリティ」はレア度の方で、一般的・少しレア・レア・超レアの4段階があり、上位ほど基礎攻撃力が高いです。
★はレベル上限で、★1つだと Lv10 で最大なのですが、最大になると「融合」を行え、他の同じ★の武器(種類はどれでも良い)を★の数だけ消費して、★を1つ上げられます。
当面は簡単に上げられるので、★はそれほど気にしなくても構いません。
現在のランクで入手可能な武器は、ランク表示をタップすると確認できます。
※ステージマップ。 クリアしたステージのマークはしばらく暗くなり、報酬が下がります。
時間が経つと再び明るくなり、また通常の報酬を得られるようになります。
HARD はかなり難しいので、MEDIUM で一通りクリアしたら、しばらくは経験値稼ぎを続けることに…
現時点(2017/6)では、まだ未完成感があって、コンテンツのボリュームが不足しているのを感じます。
しかしゲーム自体はほぼ Zombie Gunship のままで、上空からのリアルな銃撃支援を行う、このゲームならではの面白さがあります。
前作はスコアを競うだけのミニゲームだったので、それを長く遊べるようにしてくれたのは嬉しいですね。
海外のゲームには、明らかにボリューム不足のまま公開するものがあります。
これは資金調達のため、ある程度できたら早めに公開し、得られたお金で運営しながらゲームを作っていくためで、海外はこういうやり方に割と寛容なようです。
日本では製品は完成しているのが当たり前で、ボリュームが不足しているゲームはすぐ飽きて離れられるので、そういうやり方は通用し辛いのですが、ともあれ今後のアップデートに期待でしょうか。
クラロワ型の宝箱システムや進行の遅さが気になりますが、ゲーム自体は楽しめるので、オススメできるアプリです。
ただ iTunes のレビューを見ると、この暗視カメラ風の白黒画面に文句を言っている人がチラホラ。
この画面にリアリティを感じられない人だと、ちょっと見た目が辛いかも…?